大 賞

【愛知県知事賞】   豊田市 山村博保
生家にて柱時計の螺子を巻く置き去りにせし時を惜しみて        

【蒲郡市長賞】    中津川市 市田柳子
山あひを縫ひて流るる木曽川の位置を示して霧のかかれり

      
特 選

【愛知県教育委員会賞】匝瑳市 宇野とし子
良い事があったんだろう一人住む母の訛はやたら増えたり  

【中日新聞社賞】   横浜市 上村信子
真夜さめて一口の水飲みしより三年あはぬ姉をおもへり
       
【中部日本歌人会賞】 名古屋市 植田和子
空焚きの薬罐と鍋の残された義母の厨に夕日の差して

【蒲郡市教育委員会賞】福島市 兒玉正敏
十万羽の鶏のすべては殺処分 連帯責任ここに極まる

【蒲郡市文化協会賞】 関市 伊藤かえこ
初の字のつく語で子らと遊びいる「初恋」少し言わずにおこう

【蒲郡市観光協会賞】 豊橋市 廣田久惠
キャベツより甘藍という呼び名が好き畝に若葉の青さわさわと   


特別賞

【郡上市長賞】    名古屋市 川合梅子
うら山の草刈り終えた夫の手に夕焼け色のからすうり揺れ

【高岡市長賞】    仙台市 畠山みな子
両の手でキンギョをそっと掬うごと兄となりし児おとうとを抱く

        
選者賞

「島田修三 選」  田原本町 井田光美
初春の電車に乗って読む本の恋人どうしに二年がすぎる    

「栗木京子 選」  岐阜市 大栗紀美子
朝二時に採りたる飛騨のほうれん草手間と新鮮を十時に買いぬ

「小塩卓哉 選」  川崎市 大和嘉章
マッチングアプリが決めた彼女なれど心合わずに子はリセットする
  
「中村 達 選」  新居浜市 大賀康男
君らしくないじゃあないか急逝の歌友よ結句が字足らずだった
     
「神田あき子 選」  茂木町 小林博
「寒いね」と言えばすかさず「寒いね」と倍になりたる寒さが返る

     
入選
               本多礼子
ぐいぐいと風分けるやうに少年は蜜柑畑沿ひを立ち漕ぎに行く

               中村文子
旨さなどわからぬものと思ひつつ店の西瓜の音を確かむ



奨励賞
               加藤芙美代
神棚に水を供ふるわが習ひ近頃ぐいつと踵あげつつ

               杉浦常子
機織りに日々を追はれし若き日の夢に目覚めて背に汗にじむ

               林正夫
一歳のわれを残して逝きし母のその倍生きてわれ卒寿越ゆ

 


      
(※入選・奨励賞については、蒲郡市文協会員のみの掲載です。)
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